ガエルネ ビブラム クラン ケッテンマックス モーションプロ カフェ・ジャペックス
オフロードランに欠かせないものといえば、ヘルメットやウエアなどいろいろあるといえばあるが、なかでも忘れてはならないのがオフロードブーツだろう。軽い林道ツーリング程度なら、ハイカットのスニーカーやツーリングシューズなどでもよいのだろうが、ダートで転倒したときのことを考えるとそれらのシューズではやはり不安だし、ツーリングとはいえ、走ることを楽しむ=ランを主体に考えるとブーツはあったほうがいい。また週末のファンライドや草レースなどをやるときには、スニーカーやツーリングシューズでは完全に役不足で、きちんとしたブーツを履いていないと、コースに出ることはできない・・・などなど考えると、サンデーライダーなら一足は持っていたいのが、このオフロードブーツだということにもなるんだろう。
     
 

 さて、そのオフロードブーツを履きはじめて、かれこれもう20年以上が経つが、先輩からすすめられイタリアのガエルネ社のブーツをはじめて履いたときのフィット感とブーツそのものの質感の高さは、それまではいていた国産のながぐつもどきの"半長靴"(当時はブーツといえば、国産のものにはまだそんなものしかなかったような時代だったとは雲泥の差で、以来ぼくはずっとガエルネの信奉者。ガエルネに限らず、ぼくのようにブーツには同じブランドものものを長く愛用しているひとも多いと思うが、それはブーツがそれだけ長く履き続けるものであるうえに、他のアイテムに比べ、サイズひとつとっても個々の足にフィットするものを見つけるのが結構むずかしかったりするという微妙な要素があるアイテムからでもあるんだろう。

 で、ガエルネの新製品サイファーJ。これまでのサイファーをベースに、さらなる高い快適性とフィット感を求めて、日本独自に開発された。イタリアのガエルネと日本の輸入元であるジャペックスの両社において、長年に渡り蓄積されてきた豊富なデータをもとに、日本人専用の木型を使用。日本人の足に合わせ、スタイリシュにリデザインされた完全日本仕様のモトクロスブーツだ。いわゆる既存のモトクロスブーツに比べると、充分な剛性や高いプロテクション性能をを確保しながら、軽量で操作性に優れることから、長時間のライディングでも疲れにくく、エンデューロやラリーなどにも適したブーツ。
これまで愛用していたED-Proは、軽くフィット性も高く、それでいて必要十分なプロテクション性もあり、オフロードツーリングなどには最適なのだが、コースでのファンライドや週末の草レースなどで、ジャンプを跳んだときなど、ブーツ自体にもう少ししっかり感があればなあ・・・と思いながらも、既存のモトクロスブーツが必要なほどでもないという、ぼくのようなサンデーライダーには、まさに待ち望んでいたブーツ。ED-Proには「CORSA」というビムラムソールで足首のプロテクション性を高めた競技対応モデルもあるが、最近は押したり引いたりはまったりという山系のエンデューロにはほとんど出ることがないぼくとしては、コースでの飛んだり跳ねたりを考えると、むしろモトクロスソールのサイファーのほうがありがたい。それにJになって、ふくらはぎの周囲が20mm拡大され、足の太いぼくでもなんとかはいりそうなのもチョイスした理由だ。

 週末のファンライドで、さっそく履いてみたが、足を収めてみてまず驚かされるのは、これまで履いていたED-Proに比べて格段のしっかり感があるのに、ことさらな硬さや違和感がどこにもなく、まるでオーダーメードしたブーツのような絶妙のフィット感があることだ。さすがにED-Proのようにブーツを履いたままの歩行は、そんなに考慮されていないから、そのまま歩くと少しぎくしゃくするが、バイクにまたがって、ステップに立ったり座ったりという動作や、シートに座った状態でステップの上の足を踏み替えたりするような動きには、実にスムーズに対応できる。ブレーキペダルやシフトペダルの操作についても、剛性がありながら一定の自由度も確保されている足首のホールド部のおかげで、履いたそのときから、長らく履き込んですっかり自分の足になじんだブーツとほとんど同じ感覚で行うことができる。また、正直いってED-Proではときに物足りなく感じていたジャンプ着地時のステップからの突き上げも、このサイファーJでは、ガエルネ独創のモトクロスソールをはじめとしたモトクロスブーツならではのがっちりとした作り込みによるものなんだろう。でほとんど感じることがなくなったのもうれしいことだ。

  実はぼくのふくらはぎの周囲は、いちばん太いところで46cmと、きっとサッカー選手も顔負けの太さなんだが、オプションで用意されているスーパーロングピンをバックルの上ふたつにセットするだけで、難なくフィットさせることができたから、ふくらはぎの細いひとはもとより、少々太いというひとや、ニーブレイスを使用しているひとでも、ほとんどのひとが問題なく履けるはずだ。と、そんなわけで、これまでED-Proを履いていて、コースでのフリー走行やモトクロスコースを使ったサーキットエンデューロなどで、ちょっと物足りなさを感じていたぼくのようなひとは、ぜひ一度チョイスしてみるといいと思う。で、ぼくもそうしているのだが、これまで履いていたED-Proは林道ツーリングなどで使い、このサイファーJは、コースでもう少しシリアスに走りたいときに使うというふうに、ふたつのガエルネを使いわけるのが、けっこうかしこい方法なんじゃないかと思う。

ガエルネの新製品サイファーJと、
そこに見るディーラーシップ・・・

 ところで日本でガエルネといえば、もう20年以上もインポーター&ディーラーとして輸入販売を続けているジャペックスのことを忘れるわけにはいかない。輸入販売元とはいえジャペックスは、イタリアで生産されたガエルネのブーツを日本に輸入してただ販売するのではなく、欧米人と日本人の足のかたちの違いに着目し、より日本人のライダーの足にあったブーツを供給しようとガエルネ社にかけあい、ジャペックスが輸入するものについては日本専用の木型を使用したり、ED-proや同CORSAのように、日本のユーザーの声を吸い上げ日本だけのモデルを開発販売したり、また壊れたブーツの修理や加工といったリペアサービスについても、熟練のブーツ職人を擁してていねいかつきめの細かい対応をするなど、そのディラーとして長きに渡り国内ユーザーのニーズに実直に応えてきたという経緯がある。
 
 こうした消費者本位ともいうべき一連のことは、このブーツに限らずインポーターやディーラーとしては一見あたり前のことのようにも思えるが、実際は出来そうでいてなかなか出来ないことでもあり、それだけにガエルネ&ジャペックスの例を見るたびに、本来のディーラーシップとは何か・・・ということを考えさせられずにはいられない。ガエルネからリリースされるサイファーJなどの日本専用モデル、これもある意味そうしたディーラーシップの賜物(おおげさかもしれないが)といっていいんだろう。これを履けるぼくたち日本のライダーは、その幸せに感謝しなければ・・・と、ぼくなんかは思うのだが、果たしてどうなんだろう。

 
 

●松本充治(まつもとみちはる)
フリーランスライター&エディトリアルとして、過去、数多くの二輪誌の誌面作りに参画。オフロードモーターサイクリングをテーマにしたフリーのモータースポーツ記者(ジャーナリスト)としても20年の経験を持つ。バイク歴30年のベテランのオフロードライダー&ツーリングライダーでもあり、KTM&BMW-GS乗りとしても長いキャリアを持っている。日本では少数派の実用一点張りのピックアップトラック乗りでもある。身長173cm、体重90kg、RH+O型、牡牛座のビッグ&シャイガイ。

松本充治オフィシャルWeb Site ON THE ROAD:http://www.matsumotomichiharu.com/
   
 
製品ページへ